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大腸がんの治療法は様々なものがあり,どの治療法を選択するかは,がんの進行度なわち病期(ステージ)によって異なります。
この病期(ステージ)の診断の要素として,浸潤の程度(壁深達度),リンパ節転移の程度,遠隔臓器転移の程度の3点があります。
病期の判定は,手術や治療前におこなう,「治療前に判定した病期」,手術中や切除後」に肉眼で病期を判定する「肉眼的病期」,手術になどにより切除した部位を顕微鏡で観察して判定する「組織学的病期」の3種類があります。
この中で最も正確に判定しているものが,「組織学的病期」であり,予後の予想にはこの「組織学的病時期」が用いられています。
日本では大腸癌研究会の作成による「大腸癌取り扱い規約」の病期(ステージ)分類が,最も使用されています。
世界的には,TNM分類や,デュークス分類が広く使用されていますが,大きな違いはありません。
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大腸癌の病期分類 (大腸癌取り扱い規約第7版より) |
病期
(ステージ)
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深達度 |
リンパ
節転移 |
腹膜転移 |
肝転移 |
肝以外の
腹膜転移 |
0期 |
M |
N0 |
P0 |
H0 |
M0 |
T期 |
SM MP |
N0 |
P0 |
H0 |
M0 |
U期 |
SS SE A
SI AI |
N0 |
P0 |
H0 |
M0 |
Va期 |
* |
N1 |
P0 |
H0 |
M0 |
Vb期 |
* |
N2N3 |
P0 |
H0 |
M0 |
W期 |
* |
M1 |
P1以上 |
H1以上 |
M1 |
*V〜W期は深達度には関係なくみる
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結腸がんの深達度(漿膜がある部位)
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早期がん |
M |
がんが粘膜にとどまり,粘膜下層におよんでいない |
SM |
がんが粘膜下層にとどまり,固有筋層にはおよんでいない |
進行がん |
MP |
がんが固有筋層に達しているが,これを超えていない |
SS |
がんが固有筋層を超えているが,漿膜表面には出ていない |
SE |
がんが漿膜表面に露出している |
SI |
がんが直接他,他臓器に浸潤している |
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直腸がんの深達度(漿膜がない部位) |
早期がん |
M |
がんが粘膜内にとどまり,粘膜下層におよんでいない |
SM |
がんが粘膜下層にとどまり,固有筋層におよんでいない |
進行がん |
MP |
がんが固有筋層にとどまり,これを超えていない。 |
A1 |
がんが固有筋層を超えているが,さらに深くは浸潤していない |
A2 |
がんが固有筋層を超えて,さらに深くは浸潤しているが,他臓器に
浸潤していない |
AI |
がんが直接,他臓器に浸潤している |
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リンパ節転移 |
N0 |
リンパ節転移を認めない |
N1 |
腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移総数が3個以下 |
N2 |
腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移総数が4個以上 |
N3 |
主リンパ節または側方リンパ節に転移を認める |
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腹膜転移 |
P0 |
腹膜転移を認めない |
P1 |
近い腹膜にのみ播種性転移をを認める |
P2 |
遠く離れた腹膜に少数の播種性転移を認める |
P3 |
遠く離れた腹膜に多数の播種性転移を認める |
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肝転移 |
H0 |
肝転移を認めない |
H1 |
肝転移巣4個以下かつ最大径が5cm以下 |
H2 |
H1,H3以外 |
H3 |
肝転移巣5個以上,最大径が5cmを超える |
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肝臓以外の遠隔転移 |
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大腸がんの病期の決定 |
がんでは進行の程度をI〜Wの四つの病期(ステージ)に分類しています。
大腸がんでは、がんがどの程度の深さまで進んでいるかをみる「深達度」と,「リンパ節転移の程度」,肝臓や肺など「遠隔臓器転移の程度」から,病期を決定します。
病期は深達度MPまでをI期,それ以上深いものをU期,リンパ節転移があるものをV期,遠隔転移があるものをW期としています。
病期の診断によって生存率が推測されます。
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大腸癌の5年別生存率 (大腸癌取り扱い規約第6版より) |
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結腸癌 |
直腸癌 |
0期 |
88.5 |
94.7 |
T期 |
93.5 |
83.4 |
U期 |
86.2 |
81.9 |
Va期 |
74.6 |
73.5 |
Vb期 |
52.3 |
49.5 |
W期 |
13.6 |
9.6 |
深達度やリンパ節転移の有無の最終的な診断は,実際にがんを切り取って顕微鏡で確認する病理検査を行ったうえで確定します。
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